安定型の愛着スタイルを持つ人ほど恋愛の悪影響を受けやすい理由

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当方には、安定型の愛着スタイルの人が相談に来ることも多いです。

本人の問題ではなく、恋人の問題を相談に来るのです。

最も多いのは、回避型の相手とどう付き合っていけば良いのか?という相談です。

特に今まで安定型の人としか付き合ったことがない場合、回避型の人と付き合うと、信じられないことの連続で、どうして良いか分からなくなってしまうのです。

一般に、安定型の愛着スタイルを持っていれば、恋愛関係においてメンタル面での影響を受けることは少ないと思いがちです。

だから本人も自分自身がどうにかなってしまうという心配はあまりしません。それどころか、じっくりと向き合えば、相手も変わってくれて幸せになれるだろうと期待していたりします。

しかし、恋愛における影響を受けやすいのは、安定型の愛着スタイルを持っている人かもしれません。

なぜなら「恋愛ってまともなものでしょう」という期待が大きいからです。

そのため、その期待が裏切られることで、満足感が失われ、ストレスが溜まり、いつの間にか自分自身が不安定になったりするのです。

安定型愛着スタイルの人ほど恋愛関係の悪影響を受けやすい

恋愛関係における満足度の変化を分析した、サイモンフレーザー大学のユティカ・ギルメ准教授らの研究があります。

この研究では、324名の男女を対象に、関係の満足度と、安定性の揺らぎ、を定期的に報告してもらいました。

安定性の揺らぎとは、相手に対して感じる安心感や信頼感がどう揺れ動いているかということです。

例えば、ある日はパートナーのことをとても信頼できて「この人は絶対に私を支えてくれる」と感じていても、別の日には「この人は離れていってしまうかもしれない」と不安になったり、距離を置きたい気持ちが強くなったりすることがあります。

これは自分自身のメンタル状態の影響もありますが、相手の態度や、喧嘩なども大きく影響します。つまり、パートナーが不安定な愛着スタイルを持っている場合、このゆらぎは大きくなりやすいといえます。

今回の調査結果を検証したところ、時間の経過とともに、この安定性の揺らぎが大きくなるほど、関係への満足度は低下することが分かりました。

そして、この傾向は、不安型や回避型ではなく、安定型の愛着スタイルを持つ人ほど、顕著に出ることも分かりました。

恋愛に対する期待の大きさが失望も大きくする

なぜ安定型の愛着スタイルを持つ人ほど、恋愛関係のなかで安定性の揺らぎによる悪影響を受けやすいのでしょうか?

それは、安定型の人がもともと「恋愛関係は安定していて一貫性があるものだ」という前提を強く持っているからです。

普段からパートナーを信頼し、安心した関係を築けていると感じているため、関係性の中で大きな不安や不一致が生じることを予期していないのです。

そんな中で、安定性が揺らぐような出来事が起こると、「この関係は盤石なはず」という信念が裏切られたように感じ、大きなショックを受けます。

例えば、安定型の人が突然パートナーからそっけない態度を取られたり、連絡が減ったりすると、「愛しているのにそんなことするはずない」と感じ、そのギャップによって不安や戸惑いが増幅されるのです。

これに対し、不安型や回避型の人は、日頃から「相手はいつか離れるかもしれない」「親密すぎるのは危険だ」と感じやすく、関係が揺らぐことをある意味予期しています。

そのため、実際に揺らぎが生じても「やっぱりそうか」と受け止めやすく、大きな失望や不安の増加にはつながりにくいのです。

つまり、安定型の人にとって安定性の揺らぎは、予想外で異常な出来事に感じられるためにインパクトが大きく、関係満足度の低下や不安につながりやすいということです。

そして、このような状態が続くと、自分自身のメンタルがどんどん不安定になっていくのです。

これが安定型の人が、回避型や不安型と付き合っているうちに、いつの間にか自分まで変わっているメカニズムです。

不安定型との恋愛で悪影響を抑える方法

安定型の人が不安定型のパートナーと付き合う中で、ネガティブな影響を防ぐにはどうすれば良いでしょう?

それは、相手の愛着スタイルがもともと「不安定さ」を含んでいるものと理解することです。

不安定型の人たちは、恋愛関係において特有のパターンを示します。

不安型の場合は、愛情や関心を絶えず確認しようとし、少しの変化にも「拒絶された」と敏感に反応します。回避型の場合は、親密さが深まると怖くなり距離を置こうとします。

安定型の人にとっては、こうした極端な反応が理解しづらいため、戸惑いや無力感を持ってしまいます。

このような状況でネガティブな影響を最小化するには、相手の愛着システムの働きを理解する必要があります。

パートナーがしがみついてくるときは「見捨てられるかもしれない」という恐怖を感じているからであり、冷たくなるときは「愛していない」からではなく、「これ以上近づくと自分の自立が脅かされる」と感じているからです。

この視点を持つことで、相手の行動を個人的な拒絶や裏切りと捉えなくなり、過剰に反応することが減ります。

また、あなた自身が自分の感情をモニタリングする習慣をつけることも必要です。

不安定型のパートナーの行動によって不安や怒りを感じたとき、「今自分は何を感じているのか」「なぜそれを感じているのか」と立ち止まって内省しましょう。それにより、感傷的になったり、衝動的に批判したりするのを防げます。

そして、自分自身のアイデンティティを恋愛関係だけに依存させないことも大切です。

仕事や趣味、友人関係といった複数の心理的支柱を持つことで、たとえパートナーの愛着的な揺らぎに巻き込まれても、自分の軸を失わずに済むのです。

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参考文献:Girme, Y. U., Agnew, C. R., VanderDrift, L. E., Harvey, S. M., Rholes, W. S., & Simpson, J. A. (2018). The ebbs and flows of attachment: Within-person variation in attachment undermine secure individuals’ relationship wellbeing across time.