自分は不幸体質だという人がいます。何をやってもうまくいかずにいつも悪い結果になるという人です。
「なぜこんなにも運が悪いのだろう」と嘆く人もいます。
私たちが「運」というときそれはたいてい確証バイアスで説明がつきます。
つまり自分は不幸体質と思っているからそのような出来事ばかりに注目してしまうということです。生まれつき不幸体質などという人は存在しないのです。
また解釈の違いともいえます。おみくじで「大凶」が出たときに「なんて不幸なんだ」と思う人もいれば「凄い低い確率のものを引き当てた自分は特別なんだ」と考える人もいます。
とはいえ客観的なデータを取っても不幸なことばかり起こっているという人もいます。
そういう人は自分から不幸体質になるような行動を取っているのです。
不幸体質になる原因は他人の都合で物事を決める習慣
不幸体質になる原因の一つは自分の都合を優先できないということにあります。
最終的な決断を自分で下していても他人の都合に合わせてしまっているのです。無意識に影響を受けていることもあります。
損な役回りというのは流れやすいところに行くようにできています。
職場などでも「面倒なことはあの人にやらせておけば良いよね」という空気が出来ているのを感じたことはないでしょうか?
このような空気が出来るのはその人に自分を犠牲にして他人の都合で物事を決める習慣が身についてしまっているからです。
それに周囲の人が甘え始めて「利用しても良い人」と思われるとその人は損ばかりするようになるのです。
不幸体質は恋愛中によく発揮される
これは仕事だけではなく恋愛においても表れる現象です。
恋愛中は自分の都合と恋人の都合が衝突することがよくあります。
そして不幸体質の人は恋人のために自分を犠牲にする傾向があります。
週末に何かしようと計画をしても彼氏から「会いたい」と言われて予定を変更してしまったりします。
仕事でキャリアアップできるチャンスでも忙しくなると彼氏が寂しがるからとそれを諦めてしまう人もいます。
もっと凄い人になると結婚が決まっているわけでもないのに遠距離恋愛中の彼氏の近くに引っ越してしまう人もいます。
そして引っ越したらすぐに振られてしまうのです。
相手の都合に合わせることで価値を低く見積もられるようになってしまい大切にされなくなるのでこのようなことが起こります。
「好きな人のためなら…」と思っているだけなら幸せだけれど…
仕事を幸せになるための手段と考えた場合には好きな人のためにそれを犠牲にするという判断は間違ってはいません。
好きな人に合わせることで幸せになれるのだからそれで良いと思っている人もいるでしょう。
しかしそう思っている人でも実際にそれを行動に移すと幸福度が落ちることは研究でも分かっています。
個人的な幸福度は下がる
アムステルダム自由大学のフランチェスカ・リゲッティ准教授が先行研究から32,000人以上のデータを分析し、決定と幸福度の関係を調べました。
簡単にいうとパートナーのために自分を犠牲にすることは本当に幸せか?ということを調べた研究ということです。
その結果、面白いことが分かりました。
パートナーのためなら自分を犠牲にしてもかまわないと思っているだけなら幸福度は高いのです。
しかしそれを実際に行動に移すと2人の関係に対する満足度は高くとも、個人としての幸福度は下がるのです。
つまりあなたが「私は大好きな彼氏のためなら自分のことは後回しでもかまわないわ」と思っているだけなら幸せなのです。自分も幸せですし、関係性にも満足できます。
しかし彼氏のために女友達との約束を延期したり、キャリアを犠牲にするという行動をとると個人的な幸福度は下がるのです。
認知を強引に変えているだけ?
ちなみにこれは私の個人的な見解ですが2人の関係についての満足度が下がらないのは自分にそう言い聞かせているからという可能性があります。
なぜなら人間は認知の不協和を嫌うからです。
自分が犠牲を払ってまで手に入れたものが価値のないものだとは認めたくないのです。
そのため2人の関係に対する認識を無理やり良いものと思い込もうとしている可能性があります。
不幸体質を治すには人生の目的を明確にしておく
上記の研究ではパートナーのために自分を犠牲にしても個人の幸福度が下がらないパターンも分かっています。
それはその決断自体に自分が満足をしているときです。(当然といえば当然のことですが…)
この結果から不幸体質の人が満足できる決断をするためにはどうすれば良いのか分かります。
それは自分が何のために生きているのか?を明確にすることです。
「好きな人と結婚して幸せな家庭を築くことが一番の目的で仕事はお金を得るための手段でしかない」というのであれば彼氏のためにキャリアを犠牲にする決断をしても満足できるでしょう。
しかし仕事が自己実現の手段でもあるなら安易に自分を犠牲にしないことです。
「いつも譲歩してくれる人」という認識をもたれると損な役割が回ってきてしまうのです。
また関係がうまくいかなくなったときに「やっぱり私は不幸体質なんだ」と思い込む可能性が高いです。
人間の頭は「恋が入ってくると知恵が出て行く」と言われるくらいに恋愛中は馬鹿になりますから冷静な判断は難しいものです。
なので仮に自分に恋人がいなかったとしてもその決断をするのか?と考えてみるのも良いかもしれません。
不幸体質を治すには自分で決めたことなのか?そう思えるけれど実は他人の都合を優先しただけなのか?明確にしましょう。
不幸体質になる原因の一つは他人の都合を優先しすぎて知らないうちに利用されることと行動そのものによって個人の幸福度が下がることなのです。
参考文献:Righetti Francesca, et al. (2020). The link between sacrifice and relational and personal well-being: A meta-analysis.