物事を両極端に考えて決め付けてしまう人がいます。
成功か失敗か、良いか悪いか、敵か味方かといったようにどちらか一方に振り切っていいます。
このような考え方を「白黒思考」または「二極思考」と言います。
「全か無かの思考」などと呼ばれることもあり認知の歪みの一つに数えられています。
白黒思考を持つ人はグレーゾーンを認めることが苦手なのです。
具体例からチェック
白黒思考は日常生活の様々な場面で表れます。
相談に来る人で多いのは仕事や恋愛においてこのような極端さが出てしまう人です。
恋愛
理想の恋愛や彼氏像といったものを持っているとそこから少しでも外れたときに全てがダメと判断することがあります。
例えばデートをしたときに帰宅後にラインを貰えないだけで愛されていないと考えてしまいます。
反対に自分が相手に対してしてあげられなかったことがあると「私はダメな彼女」と落ち込むこともあります。
仕事
白黒思考を持つ人は上司から軽く注意されただけで「私は仕事が出来ないのだ」と決め付けてしまいます。
またプロジェクトが計画通りに進まないだけでその仕事の全てが失敗だと評価してしまうこともあります。
そのため永遠に満足することができず仕事にやりがいを感じられなくなってしまいます。
自分は優秀と思っているかどうかによって発揮できる力は変化しますから負のサイクルに入り込んでしまうこともあります。
口癖からチェック
白黒思考の簡単なチェック方法としては自分の口癖を振り返ってみることです。
「常に」「いつも」「必ず」「決して」などの言葉が多い人は極端な考え方が強いかもしれません。
言葉に出さなかったとしても思考の根底にこのような意識がある人も白黒思考を持っている可能性があります。
白黒思考の原因
なぜ一部の人が白黒思考を持つのかには様々な説がありますがハッキリとした理由は分かっていません。
進化心理学的には「あいまいな状態は精神を不安定にさせるから」とか「素早く敵味方を判断しなければ自分の身が守れないから」などと言われることもあります。
またアスペルガー症候群などの発達障害や境界性パーソナリティ障害などの特徴の一つとして白黒思考が挙げられることもあります。
境界性パーソナリティ障害においては他人を「敵か味方か」と区別する二極思考が見られることが知られています。
トラウマと関係しているとも言われます。これは私がカウンセリングを行っている中でも頻繁に遭遇するパターンです。
過去のトラウマや親からの悪影響によって思考が極端になってしまうのです。
この根底には自分の身を守りたいという気持ちが隠れていることが多いです。
白黒思考の治し方
白黒思考の治し方としては認知療法が用いられることが多いです。
自分の思考パターンを見つけ出して他の考え方が出来ないかということを訓練します。
これは自分で紙に書き出すことによっても行うことが可能です。
視点を変える
また白黒思考を持つ人は自分にとってネガティブなことでそう考えてしまうことが多いです。
しかし他の部分ではかなり曖昧な判断を下していたりします。
例えば職場で急な残業や同僚のフォローを依頼されたときに何の疑いもなく受け入れたりします。
「これは私の仕事、それはあなたの仕事」と分けないのです。反対の立場にいるときは凄く気にするのにも関わらずです。
「余計な残業をさせる上司は無能」とも評価しません。むしろこのように割り切れたらストレスは溜まり難いでしょう。
視点を変えれば曖昧なこともたくさんあるということに気づくのは白黒思考を治すうえで効果的です。
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白黒思考が役立つときもある
白黒思考は常に悪いわけではありません。
世の中には本当におかしな人もいますからそういうときに「あの人はそういう人だから気にしない」と割り切るのはメンタルヘルス上も良いことです。
大切なことは現実世界で完全に二極化できることのほうが少ないということを意識しておくことです。