心理的リアクタンス理論とは:ACの恋愛にも関係する心理学

心理的リアクタンス理論とは:ACの恋愛にも関係する心理学

自分でやろうと決めていたことでも誰かに「やりなさい」と言われると反発したくなってしまうことがあります。

たとえその行動が最適なものであったとしてもやる気を失ったり違うことをしたくなるのです。

このように強制されると反発したくなる心理現象は「心理的リアクタンス理論」によって説明することが可能です。

これはAC(アダルトチルドレン)の恋愛においても関係してくる理論です。

職場の同僚の説得や営業、勉強しない子供の誘導などにも役立つ知識なのでそのあたりも合わせて説明します。

心理的リアクタンス理論とは?

人間は自分の意見や行動を自由に選択したいという欲求を持っています。
他人から何かを強制されるということはそれが侵害されるということです。

するとその自由を守ろうとか取り返そうという自己防衛本能が働き反発したくなるのです。

このような心の働きを「心理的リアクタンス」と言います。
リアクタンスとは「抵抗」という意味です。

アメリカの社会心理学者であるジャック・ブレームが提唱した理論です。

心理的リアクタンスの強度を決定する条件

心理的リアクタンスは条件によってその強度が変化します。
その条件には以下のようなものがあります。

  • 自分にとって重要かどうか?→重要なことほど強くなります
  • 法律による規制→法律で禁止されているときは弱くなります
  • 制限の範囲→制限される対象が広くなるほど強くなります
  • 他の行動への影響度→禁止事項が他の行動にも影響するとき強くなります

あまのじゃくな性格だけが問題ではない

心理的リアクアタンスはもともとの性格も関係しています。
職場でも何でもかんでも反対したがる人は存在しますがそういう人は心理的リアクアタンスが強いのです。

しかし素直な性格の人には全く反抗心がないのか?といったらそんなこともありません。
それは実験でも示されていることです。

子供の実験

子供に部屋の中にあるおもちゃを好きな順番で並べてもらいます。
その後でおもちゃで遊ぶように言うのですがそのときに2番目に好きといったオモチャでだけは遊んではいけないと禁止しておきます。

一旦遊びを中断した後で再び好きなおもちゃで遊んで良いといと多くの子供は禁止されていた2番目に好きなオモチャで遊びたがるのです。
これは禁止されたことで奪われた自由を取り戻そうという心理が無意識に働いているからと考えられます。

ACの恋愛と心理的リアクタンスの関係

AC(アダルトチルドレン)のカウンセリングの中で恋愛についての相談は非常に多いです。
そのときに気をつけていることがあります。

それはたとえACがどんなダメ男と付き合っていたとしても「すぐに別れてください」とは強制しないことです。
なぜなら心理的リアクタンスが働いて余計に執着してしまう可能性があるからです。

ACがダメ男を好きになる理由の多くは育った家庭環境によるものが多いです。
自己肯定感の低さや、無意識に親と同じような相手を選んでいたりするということです。

このような要因で選択した相手と付き合い続けると恋愛依存症状態になってしまうこともあります。

しかしそれだけが原因とも言い切れません。

ダメ男と付き合っていると周囲の人間から猛反対されることがあります。
するとそれに対する反発心が働いてしまうのです。

だから余計に別れられなくなるということです。
こうならないようにするため、カウンセリングではゆっくりとそれは恋愛感情ではないということに気づいてもらうようにしなければならないのです。

心理的リアクタンスと恋愛の関係においてはポップ心理学の域を出ないと考えられています。
ポップ心理学とは一般受けするように解釈を強引に当てはめたような理論のことです。

しかし私のカウンセリング経験から言うと心理的リアクタンスと恋愛の関係は強いと思います。

日常への応用と対策

心理的リアクタンスがどのようなときに働くのか知ることで日常に応用することができます。
反抗的な人に対処するときも役立ちます。

子供が勉強しないとき

心理的リアクタンスを説明するときに最もよく使われる例え話がこれです。
子供が宿題をやろうと思っていたタイミングで「宿題しなさい」と言ってしまうとやる気を失ってしまうというものです。
とくに思春期はただでさえ大人に反発したくなる時期なので気をつけなければなりません。

では子供に勉強させるためにはどうすれば良いのでしょうか?
それは親が楽しそうに勉強している姿を小さな頃から見せておくことです。
そうすることで無意識に「勉強=楽しいもの」という刷り込みがされるのです。
『東大王』というクイズ番組に出演している東大生も同じようなことを言っていました。

仕事で誰かを説得するとき

心理的リアクタンスの強さは人によって違います。

職場には相手が上司だろうと部下だろうと強制されたと感じた瞬間に反抗的な態度を取る人間がいるのも自然なことです。

こういう人間に正論をぶつけても無駄です。
なぜなら彼らは仕事で成果を出すことではなく反論することが目的になってしまっているからです。

こういうタイプを動かすときは「命令」ではなく「相談」という形で話を持っていきましょう。
人間には自己重要感を満たして欲しいという感覚があります。
つまり自分は重要な人物であると思われたいということです。

依頼や命令ではなく相談をすればそれが満たされますからたとえ反対意見であっても聞き入れてもらいやすくなるのです。

営業で顧客に売り込むとき

ファミレスのランチタイムは日替わりを頼む人が多いです。たとえおすすめされなくても頼んでしまうのです。
なぜならそう選択するように仕組まれているからです。

他のメニューと比べたときに価格的に最もお得感があるように見えますし、メニュー写真も最も美味しそうに見せています。

なぜ日替わりを頼ませたいかというと厨房の負担が減り回転数を上げられるからです。
そんな事情を知らない客は自分で最も良い選択をしたと思いますから満足します。

つまり営業でどうしても売りたいものがあるのなら強引に説得するのではなく、顧客が自らの選択で選んだと思わせればよいのです。
そのためにはダミーとなる選択肢を準備することと、説明せずに相手にひたすら喋らせることが重要です。

ヒューレット・パッカード社の実験

2011年にコンピューターの会社であるヒューレット・パッカードに所属する心理学者が面白い実験を行いました。

実験では最初に2つの家具のうちどちらが良いと思うかを質問します。
期間を置いてから再び同じ質問をするのですがそのときに違うほうの家具を選んだ人の人数が知らされました。

それによって選択を変えるかどうかということを知りたいわけですが面白い結果になりました。

自分とは違う家具を選んだ人の数が少ないときのほうが選択を変える人が多くなったのです。
多くの人が反対意見を持っているときのほうが選択を変えにくいのです。

人間は社会に同調したいという欲求も持っていますからこのようなケースでは多数派の意見の影響をより強く受けそうなものです。

しかしそうはならなかったということは何らかの形で心理的リアクタンスが働いたからかもしれません。

心理的リアクタンスを活用して誰かを説得したいときは本人の気質だけではなく周囲の環境も考慮したほうが良さそうです。

心理的リアクタンスと関連する他の心理学効果

心理的リアクタンスが働くことで起こるとされる心理学の効果をいくつか説明します。

ロミオとジュリエット効果

障害のある恋愛ほど燃えるというのが「ロミオとジュリエット効果」です。
家族や友達の反対があるとそれに反発したくなるため余計に盛り上がるということです。
ただしこの効果は反発によるイライラを恋愛感情による興奮と勘違いしてしまっている可能性も考えられます。

カリギュラ効果

禁止されたことほどやりたくなってしまうというのが「カリギュラ効果」です。
1980年の映画『カリギュラ』の内容が過激すぎて上映禁止になったところ再開後に客が殺到したことに由来します。
これも禁止されることによって自由を侵害されたと感じた人々に心理的リアクタンスが発生したために起こると考えられます。

ブーメラン効果

ブーメラン効果という言葉は業界ごとに異なる意味で使われます。
心理学では無理に説得しようとすることで相手がそれと反対方向の意見を選択してしまうことを言います。
営業などで必死に説得すると逆効果になるのはこの現象です。

心理的リアクタンスに気づかないと選択を誤る

人から何かを言われたときに反抗心が芽生えたときは注意しなければなりません。

その意見が間違っているから反発したいのか?それとも単に心理的リアクタンスが働いているだけなのか?ということを冷静に判断する必要があります。

そうしないと誤った選択をしてしまうことがあります。

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