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記憶

記憶

どうしても思い出せない記憶もあれば、忘れたいのに忘れられない記憶もあります。

なぜこのようなことが起こるのかというと情動が関係しているからです。

感動や恐怖とともに体験したことはいつまでも覚えているものなのです。

記憶の仕組み

目や鼻、皮膚などの感覚器を通じて入ってきた刺激は大脳新皮質で整理され海馬に送られて一時的に留まります。

これが短期記憶と言われるものです。

この情報を海馬が必要かどうか判断して再度大脳新皮質に送られると長期記憶として定着します。

脳の容量には限界がありますから体験したことの全てをいつまでも残しておくわけではないのです。

[思い出す]という作業は覚えたときにつながった神経細胞のネットワークを再びつなげるということです。

思い出しやすい記憶というのはネットワークがつながりやすくなっている状態と考えられます。

繰り返しの学習などによって神経細胞のつながりであるシナプスの伝達効率の上昇が維持されることをLTP(長期増強,long-term potentiation)と言います。

LTPはシナプスの構造そのものが変化している状態です。

LTPには弱い刺激によって短時間しか伝達効率の上昇が維持されないE-LTPと、強い刺激によって長時間にわたり伝達効率の上昇が維持されるL-LTPがあります。

忘れられない記憶

人間は感情をともなう記憶ほど忘れにくいと言われています。

それには生存の危機を生きのびるための機能が関係します。

情報を長期に渡り保存しておくべきかどうかを判断するのは海馬です。

海馬がどのような基準で情報の取捨選択をしているかというと「生存に不可欠な情報かどうか?」ということです。

英単語は覚えられなくても犯罪多発エリアは一度聞けば忘れないのはこのためです。

危険な場面に遭遇するとまず脳内の扁桃体が活性化します。

その神経活動が大脳新皮質へと伝わり恐怖の感情が生まれるのです。

海馬にも影響を与えると考えられており、これらの影響により記憶が定着しやすくなるのです。

扁桃体が活性化するとLTP(長期増強)が起きやすくなるとも言われています。

生存を脅かすような状況に直面したときに恐怖の感情を呼び起こしそれを忘れ難くすることで、再び同じ事態に陥ったときに適切な行動を取りやすくしているのです。

嫌な体験ほど忘れられないのはこのためです。

また繰り返し入力された情報も記憶に定着しやすくなります。

何度も入ってくることで脳が重要な情報だと判断するからです。

勉強の復習が大事と言われる所以です。

思い出せない記憶

何かを記憶するとき以下の3つのプロセスに分けて考えることが出来ます。

  1. 記銘(符号化)
  2. 保持(貯蔵)
  3. 想起(検索)

情報を頭の中に入れて(記銘)、それをとっておき(保持)、必要なときに引っ張り出す(想起)という流れです。

覚えることが出来なくなったり、思い出せなくなるのはこのプロセスのどこかで問題が起こっているのです。

記憶の回路が繋がらない

情報が入ってきたときに電気信号によってつながった神経細胞の組み合わせが記憶の回路となります。

この回路はその後も残ります。そして思い出そうとしたときに再び信号が送られることで同じ回路がつながるのです。

このときに信号の強さが足りないと上手くつながらずに思い出すことが出来ないのです。

なぜ信号の強さが足りなくなるのかは集中力の低下などが考えられています。

記憶障害

過去のことを思い出せない、新しいことを覚えられないといった状態を総称して「記憶障害」と呼びます。

記憶障害が引きこされる原因としては脳の損傷などの器質性のものとストレスなどの心因性のものが考えられます。

解離性健忘

ストレスや心の傷の原因となった出来事の一部または全部を忘れてしまうことを解離性健忘と言います。解離性障害の1種です。

解離とは「自分が自分である」という感覚が失われている状態です。強いストレスから精神を守るために起こる防衛機制の1つと考えられています。

事件や事故、虐待などのショッキングな出来事を体験したときに起こることがあります。

思い出せない期間は人によって異なります。数時間のこともあれば数年の場合もあります。心因性健忘と呼ばれることもあります。

患者HM(ヘンリー・モレゾン)

記憶の研究において最も貢献した人物の1人は「HM」と呼ばれるてんかん患者です。

てんかん発作を止めるために脳の一部を切除したことが原因となり記憶障害が発生しました。

昔のことは覚えていても手術以降の新しいことは7秒ほどしか覚えていられないという状態になってしまったのです。

切除された部位には扁桃体や海馬が含まれていました。

HMの手術とその後の観察が記憶のメカニズムを解明する手がかりとなったのです。

※HMは2008年に他界した後に本名が公開されました。

上記以外にも機能や心の問題によって記憶が思い出せなくなる状態は複数あります。

余談ですが酔っ払ったときのことを覚えていないのはアルコールによって海馬の働きが悪くなり長期記憶への変換が上手くいかなくなるからです。

ストレスの影響

ストレスは記憶(記銘)するときと思い出すとき(想起)の両方に影響を与えます。

ストレスを受けると副腎皮質からグルココルチコイドというホルモンが分泌されます。

それが脳内の神経細胞に入り込み記憶を強化するのです。

さらに強いストレスを受けると副腎髄質からアドレナリンも分泌されます。

アドレナリンは神経細胞を興奮させ扁桃体内にノルアドレナリンを分泌させます。

ノルアドレナリンが受容体と結合するとグルココルチコイドのはたらきが強化されるため記憶が固定化しやすくなります。

ストレスは覚えるときにはそれを強化するはたらきをしますが思い出す(想起)ときには逆のはたらきをします。

ストレスを感じたときに放出されるホルモンを意図的に作り出す実験では人間でもマウスでも記憶が思い出しにくくなるということが分かっています。

テストなどで覚えたはずのことがどうしても思い出せなくなるのはストレスの影響を受けているからかもしれません。

忘れたい記憶

記憶を忘れたいという相談をされることがあります。

辛い過去や好きな人のことを忘れたいという人が多いです。

しかし残念なことにこのタイプの記憶は忘れようとすればするほどに忘れられなくなるものなのです。

心理学の世界で有名な「シロクマ実験」というものがあります。

これは被験者にシロクマのビデオを見せて一定期間を置いた後に内容をどれだけ覚えているかテストするという実験です。

この結果によると「シロクマのことを覚えておいてください」と言われたグループよりも「シロクマのことだけは絶対に考えないでください」と言われたグループのほうがよく覚えていたということが分かっています。

なぜこのようなことが起こるかというと「ある事柄」を考えないようにするためにはそれを覚えておかなければならないからです。

実験を行った心理学者のダニエル・ウェグナーはこの現象を「皮肉過程理論」と名づけました。

この理論に限らず「あの人は忘れよう」といつも思うことで記憶が強化されてしまうということも起こります。

つまり忘れたい記憶があるなら無理に忘れようとするよりも「まあ思い出しても仕方ないかな」くらいのスタンスでいたほうが良いということです。

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