アダルトチルドレンは他人の顔色ばかり伺ってしまうという特徴を持つ人が多いです。
しかしこれは相手の顔をじーっと見るということとイコールではありません。
心の目では必死に見ようとしているのに物理的な目で見ることは苦手という人もいます。
このような状態になっているのは親の批判的な態度が原因かもしれません。
何日か前に子供時代の小さなストレスでも怖い顔への回避傾向を低減するという記事を書きましたが今回それとは異なる反応について説明します。
批判的な親を持つ子供の反応
ニューヨーク州立大学ビンガムトン校の研究者たちが他者の感情的表情に対する子供の反応を調べた実験があります。
参加したのは7~17歳の子供252人とその親です。
まず親子は別々にインタビューを受けます。
親が子供について語った内容から批判レベルを数値化します。
子供はさまざまな感情を示す写真を見せられます。
そのときに事象関連電位(ERP)と呼ばれる脳内で事象が発生したときの反応を調べます。
事象関連電位(ERP)の1つでどれだけ幸せや悲しみといった感情に注意を払っているかの指標になるのが後期陽性成分(LPP)です。
この後期陽性成分(LPP)は批判的な親を持つ子供とそうでない子供では異なる結果が計測されました。
(恐怖、悲しい、幸せなど)どの表情の写真を見ているときも批判的な親を持つ子供のほうが数値が小さかったのです。
つまり他者の感情シグナルへの注意が低い傾向にあったということです。
顔を見ないのは自衛手段
小さな頃から親に批判ばかりされるとどうなるでしょうか?
やがて何かを言われなくとも親の顔を見ただけで攻撃された気分になり恐怖や怒りの感情が沸き起こるようになります。
なぜなら表情とその後の行動が条件づけされてしまうからです。
そうなると自衛手段の一つとして感情的な表情を見ないようにするという行動を選択する子供もいます。
批判的な親の表情を見ないことによって自分の心を守るのです。
そしてその癖が大人になった後も抜けないと他の人に対しても同じ行動を取ってしまいます。
感情的な表情は自分を傷つけるものという誤った信念が作られてしまっているのです。
健全な他者を見逃す可能性
実験ではネガティブな表情だけではなくポジティブな表情にも注意を払わないという結果になっています。
相手の幸せそうな表情にも注目しないのです。
これは自分に肯定的な態度を取っている人を見逃してしまうことにつながりかねません。
又は全ての他人が自分を批判しているという誤った思い込みを生み出す可能性があります。
アダルトチルドレンを改善するための有効な方法として健全な他者とのつながりを持つことが挙げられます。
他人は信用できるものという認識を持つことと自分を肯定することにつながるからです。
相手の顔を見ないことによってその可能性を閉ざしてしまうことのないようにしてください。