回避依存症と恋愛依存症の違いを明確にすることは難しいです。
双方に共通する部分も多く1人の人間に両方の特徴が表れることも珍しくありません。
「回避依存症は恋愛依存症の一種」という人もいるくらいです。(私がカウンセリングをしている感覚としては別物だと思いますが)
またネットや通俗本に記載された内容は誤りや偏りが多いため余計に混乱してしまいます。
私のカウンセリング経験から1つの基準を挙げるとすれば両者の違いは「親密になる不安」が顕在化しているのか「見捨てられ不安」が顕在化しているのかということだと思います。
もちろんこの2つの不安は双方が持っているものです。
双方の共通点
「男性の恋愛依存症のことを回避依存症と呼ぶのですか?」と聞かれることがあります。
回避依存症が男性に多いのでこのようなイメージを持つのかもしれません。
正しくはないのですが完全に間違っているとも言えません。
それぞれ同じような部分もありますし両方の特徴を備え持つ人もいるからです。
双方の共通点は以下の点です。
- 恋愛に苦しみを感じているが抜け出すことにも苦しみを感じる
- 「見捨てられる不安」と「親密になる不安」の両方を持っている
- 家庭環境やトラウマが原因となっている
- 自己肯定感の低い人が多い
上記以外にもありますが多くの人に見られる共通点としてはこれくらいでしょう。
恋愛依存症の人が回避依存症の特徴を見たときに自分に当てはまると感じることが多いのもそれぞれの特徴に共通点が多いからです。
見捨てられる不安と親密になる不安のどちらの「意識」が顕在化しているか
ここからは私のカウンセリング経験に基づく個人的な意見として説明します。
回避依存症と恋愛依存症を分けるものがあるとしたらそれは見捨てられる不安と親密になる不安のどちらの「意識」が顕在化しているかということだと思います。

自分自身が見えている不安はどちらなのか?ということです。
回避依存症の人は親密になることの不安を自分で意識していることは多いです。
そのため恋人から逃げたり暴力を振るうことで距離を作るのです。
しかし潜在意識には見捨てられる不安を持っています。
見捨てられるのが怖いから逃げる、逃げられるのが怖いから暴力で支配するとも言えるのです。
顕在意識と潜在意識で異なる不安を持っていますが解決策は同じなのです。
本人はそれを意識していることは少ないです。
恋愛依存症の人は見捨てられる不安を自分で意識していることが多いです。
そのため自分がいなければ何も出来ないようなダメな相手を選ぶのです。健全な相手にはしつこくして嫌われるようなことをします。
しかし潜在意識では親密になる不安を持っています。
健全で親密な関係が出来上がってもどう対応して良いか分からないからです。
そのため親密になることが難しいダメな相手を選んだり、健全な相手を選んでも嫌われるようなことをしてしまうのです。
回避依存症も恋愛依存症も「見捨てられ不安」と「親密さへの不安」の両方を持っています。
自分がそのどちらを認識しているかが一部の極端な行動へ影響を与えていると考えられます。
ハッキリと定義することは出来ない
恋人に暴力を振るう人や無視する人がいたとします。
この人が回避依存症なのか恋愛依存症なのかを見分けるのは難しいです。
本人の気持ちを直接聞くかその他の行動も観察しなければ確定は出来ないでしょう。
同じような家庭環境やトラウマの影響を受けても回避依存症になる人もいれば恋愛依存症になる人もいます。

それら以外の理由で暴力を振るう人もいるのです。
恋愛依存症にも回避依存症にも明確な定義というものがありません。
仮にこの二つを正確に定義することができると言う人がいたらその人はカウンセリングをしたことのない人でしょう。
カウンゼリングをしていると様々な特徴を持った人に出会います。
多くの人に共通する幹の部分はそれほど変わりませんが枝葉の部分は人によって全く異なるのです。
そしてその枝葉の部分が重要な意味を持つこともあります。新たな相談者と出会う度に新たな発見があるのです。
心の悩みについてネットで調べると一部の特徴が全てであるかのように記載されているサイトが非常に多いです。
特にまとめサイト等はアルバイトの素人が信憑性のない記事を継ぎ合わせて作成したものが多いため全くのデタラメだったりします。
そのような内容を真に受けてしまうと克服できるものも出来なくなってしまいます。
くれぐれも誤った情報に惑わされないようにしてください。