咳が出たり頭痛がしたとき、心が落ち込んだときに過剰に心配してしまう人がいます。
そしてインターネットで病気を検索して自分はこれに違いないと勝手に診断してしまうことがあります。
このような症状をサイバー心気症(サイバーコンドリア)と言います。
サイバー心気症とは
サイバー心気症とはインターネット上の健康サイトを検索しその情報を過度に信用しそれが自分に該当すると思い込み不安を強めることです。
正式な精神病として定義されているわけではありませんがこのような症状を持つ人は決して少なくありません。
強迫性障害と関連しているという研究者もいます。
特徴としては1日に何度もインターネットの情報を検索し数時間に渡ってそれを見続けることが挙げられます。
サイバー心気症の人は安心したいという気持ちからこのような行動を取っていますが情報を調べれば調べるほどに不安を強めてしまいます。
症例の少ない難病やうつ病などの精神疾患と思い込んでしまうケースがあります。
当カウンセリングルームに相談に来る人を見ていると恋愛や人間関係で悩んでいるときに何らかの依存症ではないかと悩みすぎてしまう人がいることが分かります。
サイバー心気症はあらゆる病気や依存症の不安をもたらしてしまうものなのです。
性格上の特性
次のような性格上の特徴を持つ人はサイバー心気症になりやすいとされています。
- 社交的で愛想が良いときもあるが、内向的で用心深く遠慮がちなときもある
- 表面的には規律正しく自制的だが内心ではくよくよしたり不安になる傾向がある
- ときに非現実な願望を持つことがある
- 他人から好かれたいと思っているが自分のことを批判してしまうことがある
仮にあなたがサイバー心気症だった場合に該当する部分はあったでしょうか?
実はこれは嘘です。
サイバー心気症になりやすい人の特徴ではありません。
アメリカの心理学者バートラム・フォアが別の実験で使った文章です。
雑誌に載っていた星占いの結果を適当に組み合わせたものです
これを実験参加者に「あなたの性格診断の結果です」と言って渡すと多くの人が自分に該当すると答えました。
このような効果を心理学で「バーナム効果」と呼びます。
占いが当たっていると信じてしまうのもこの効果によるものです。
そしてサイバー心気症の人が自分が病気であると信じてしまうときにも同様のことが起こることがあります。
ネットで見た情報の中で当てはまるものに注目し自分は病気であると思い込んでしまうのです。
サイバー心気症を克服する方法
本当に症状が出ているのであれば病院に行くべきでしょう。
しかし何の病気でもないならネットで調べることを止めましょう。
サイバー心気症の人は情報を精査する能力も落ちていることがあります。
数年前に医療情報を扱うキュレーションサイトが素人が書いた間違った情報だらけということで問題になったことがあります。
問題が公になるまでは多くの人が内容を信じてしまっていました。
このサイトは大手企業が運営していたため閉鎖されましたが個人や零細企業が運営しているサイトは未だに間違った情報を掲載したまま残っています。
検索サイトにキーワードを打ち込んだときに出てくるサイトやブログは正しい順番ではありません。
SEO(検索エンジン最適化)対策をどれだけ行ったかという順番です。
医療や金融に関係する情報についてはGoogleのアルゴリズムが政府機関や病院などの権威性のある組織のサイトが上位に来るように調整をしてはいます。
しかしそれでも上位に怪しいサイトが出てることがよくあります。
サイバー心気症を克服するためには過度なネット依存を止めることです。
しかしそれが難しいようであればまずはそのサイトの信憑性を確認することから始めてみると良いかもしれません。